PythonでNACA4桁翼の断面形状を作図する方法

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NACA4桁翼とは、航空機に使われている代表的な翼型の事です。空力性能が良い翼の設計は航空機業界だけの仕事ではなく、翼の断面形状を自由に作図できるようになる事で、色々な解析が捗ります。この記事はPythonでNACA4桁翼を作図する方法を紹介します。

こんにちは。wat(@watlablog)です。ここではNACA4桁翼の断面形状をPythonで作図してみます

NACA4桁翼とは?

航空力学分野で代表的な翼型

NACA4桁翼型(NACA 4-digit series)とは、前縁(Leading Edge)が丸く、後縁(Trailing Edge)が先細っている一般的な航空機用の翼を、4桁の数字で表したものです。他にも5桁型、6桁型があり、4桁型は1930年代に開発された古い翼型です。

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翼型の研究はライト兄弟の時代から続けられており、抗力を抑えつつ効率よく揚力を発生させる形状を目標としています。

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ちなみにNACAとは、NASAの前身であるNational Advisory Committee for Aeronauticsの事です。

NACA4桁翼型のパラメータ

下図がNACA4桁翼型のパラメータです。

翼は先頭が前縁、最後端を後縁と呼びますが、前縁から後縁にまっすぐ引いた線をコード線(Chord line)と呼びます。

コード線を上方向に反らせた線を反り曲線、またはキャンバー線(Camber line)と呼び、このように翼を反らせる事で空力性能を向上させます。

翼は図中\(y\)軸方向に厚みを持っており、横軸\(x\)で一様ではなく分布を持ちます。この分布の事を翼厚分布と呼びます。

NACA4桁型のパラメータ

作図のためには最大厚さ比\(t\)、反りの最大位置\(p\)、反りの最大値\(m\)をパラメータにとります。

\(t\)は翼のコード線の長さを1とした時の厚み比で、%表示の2桁の数値で表します(20[%]等)。\(p\)もコード線の長さを1とした時の反り位置で指定しますが、4と指定したら0.4を意味します。\(m\)も同様に比ですが、4を指定すると0.04を意味します。

これだけ知っていれば4桁の数字を聞いただけで翼の形状がわかりますね。

NACA4桁翼型の式\(^{[1]}\)

翼厚分布

翼厚分布\(y_{t}\)は式(1)で定義します。

\[ \pm y_{c}=\frac{t}{0.20}(0.29690\sqrt{x}-0.12600x-0.35160x^{2}+0.28430x^{3}-0.10150x^{4}) \tag{1} \]

キャンバー線

キャンバー線は式(2)で定義します。

\[ \left\{\begin{eqnarray} y_{c}&=&\frac{m}{p^{2}}(2px-x^{2})&[0\leq x \leq p]\\ y_{c}&=&\frac{m}{(1-p)^{2}}\left\{(1-2p)+2px-x^{2}\right \}&[p<x\leq 1] \end{eqnarray}\right. \tag{2} \]

NACA4桁翼型の例

式(1)で定義した翼厚分布の上面と下面に対し、上方向に式(2)のキャンバー線を加算するとNACA翼が完成します。

以下にNACA4桁翼型のいくつかのパターンを示します。

翼型をプログラムで作図する理由

今回はPythonで翼型を作図するプログラムを作る事を目標としています。ここでは翼型をプログラムで作図する理由をお気持ち表明しておきます。

作図の自動化

プログラムで作図する最も大きなメリットは作図の自動化ができるようになるという事です。

作図自動化ができると、CADソフトを使っていちいち形状を手で描かなくても良くなります。

作図自動化はCADソフト上でマクロを組んでしまう方法が一般的だと思いますが、CADソフトのためにマクロ記法を覚えたりする習得コストもそれなりにあると思います。

また、工学系のソフトは意外とPythonコードを使えるものもあります(某電磁界解析ソフトや某最適化ソフト等…多数)。Pythonで色々できるようになっておくとこういうソフトとも連携ができるため便利です。

シミュレーションの自動化

先ほどの続きになりますが、作図の自動化ができると様々なソフトと繋げる事ができます。

そして、翼型は主に流体シミュレーションで様々なパラメータによる揚力や抗力、流れの剥離、再付着位置、騒音…等の多数の検討に使われると思います。

Pythonでパラメータを変更→作図→シミュレーション→評価…と自動で回せると人の工数は激減するはずです。

PythonでNACA4桁翼の断面を作図するコード

動作環境

本プログラムは以下の環境で動作を確認しています。

Windows OS Windows10 64bit
CPU 2.4[GHz]
メモリ 4[GB]
Mac OS macOS Catalina 10.15.7
CPU 1.4[GHz]
メモリ 8[GB]
Python Python 3.9.6
PyCharm (IDE) PyCharm CE 2020.1
Numpy 1.21.1
matplotlib 3.4.3

全コード(コピペ動作可能)

今回はそんなに行数がありません。以下の全コード内に示したコメントで説明は十分かと思いますが、仮にNACA4450を作図する場合は、
「NACA4(m=4, p=4, t=50, x_resolution=300)」
と対応色文字部分を変更して実行します。

x_resolutionを増やすと断面が滑らかになります。おそらく3Dプリンタで印刷する時にも滑らかさが変わると思います。

「# 後でサーフェスを閉じるために末尾を0にする」や「# z座標を設定」の部分は、次回記事で3Dモデルとする時に使います。

実行結果

下図が実行結果で得られるmatplotlibのプロット結果です。緑線が上面、青線が下面、赤線がキャンバー線です。

NACA自動作図コードの実行結果

まとめ

本記事ではNACA4桁翼型の概要と作図に必要なパラメータ、翼厚分布とキャンバー線の式を紹介しました。

最後はPythonによる自動作図関数を紹介し、実際にmatplotlibによるプロットをしてみました。

翼の自動作図ができると航空機業界以外にも風等の流体を扱う人の工数を少し削減できるかも知れません。

次回はこちらの翼をメッシュデータにしていきたいと思います(記事の構成の都合上分けました)。

参考文献

NACA翼については以下の参考文献に詳しく記載があります。本書は航空力学に興味のある方であれば楽しく読めると思うので是非書店で見かけたら手に取ってみて下さい。

航空機設計とは,まったくゼロの状態から作業を開始して,いままでにない新しい機能や性能を有する航空機の形を決定していく作業である。本書では,航空機開発のプロセスの一部である航空機概念設計の流れが把握できるよう解説した。

[1] 李家 賢一, 航空機設計法-軽飛行機から超音速旅客機の概念設計まで-, コロナ社, pp.109-110, (2017)

今回は作図会!みんなでNACA翼作図しましょう!
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